採用できてもなぜ定着しない?離職を防ぐにはどうしたらいいか
現在の採用市場は、企業の求人数に対して求職者が少ない「売り手市場」です。企業は求める人材に入社してもらえるように様々な工夫をする必要があります。しかし、求める人材をせっかく採用できたとしても、すぐに辞めてしまうことが課題となっている企業も多いでしょう。
離職率の増加は企業にとって大きなロスになります。どのように防いだらいいのでしょうか。
早期離職する割合
厚生労働省の調査(2022年10月公表)によると、2019年3月に卒業した新卒者の就職後3年以内の離職率は、高卒で35.9%、大卒で31.5%となっており、およそ3割の新卒者が3年以内に職場を辞めています。中途採用については、職種や企業規模によって異なりますが、新卒者のおよそ1.5倍~2倍の離職率と言われています。
離職の主な原因
『エン転職』1万人アンケート(2022年10月)「本当の退職理由」実態調査 一部抜粋
では、離職する原因にはどのようなものがあるのでしょうか。
エン転職の調査(2022年10月公表)であげられている主な離職理由は、「職場の人間関係が悪い」「給与が低い」です。そのほかに「会社の将来性に不安を感じた」「社風・風土が合わない」があります。特に20代では、他の年代に比べて「仕事内容が合わない」「残業・休日出勤が多かった」と回答する割合が高くなっています。
離職率が高いことで生じるデメリット
およそ3割の新入社員が就職後3年以内に離職しているという実態がありますが、離職率が高いとどのようなデメリットが生じるのでしょうか。
コストがかかる
採用活動には説明会の実施や選考にかかる人件費、求人広告媒体の費用など一定の採用コストがかかります。また、新入社員が入社してからも、研修やOJTといった教育コストがかかります。離職率が高いと、これらのコストが何倍にもなってしまうのです。
企業イメージに影響
離職率が高いとブラック企業であると受け取られてしまう可能性が高くなります。
特に近年の就職・転職活動は、企業の情報をSNSやインターネットから入手することが増えています。様々な情報を集めやすいので、興味をもった企業の離職率が高いことがわかると、企業に何らかの問題があるのではないかと感じてしまうかもしれません。離職率が高いと、企業イメージに影響を及ぼしかねないのです。
その結果、離職する人は増えるのに求職者が集まらないという悪循環が生まれる可能性もあります。
在籍する社員のモチベーションが下がる
早期離職が増えると、在籍している社員のモチベーション低下につながります。
企業での研修やOJTを終えたにも関わらずその社員が退職すると、教育にかかった労力が無駄になったと感じてしまいます。また、退職した社員の分の仕事が在籍する社員に振り分けられるため、在籍する社員の負担が増えることになります。こうした理由から、離職が増えると在籍する社員のモチベーション低下につながります。
離職を防ぐためには?
離職率が高いと様々なデメリットが生じることがわかりました。離職を防ぐためにはどうしたらいいのでしょうか。離職の主な原因をもとに、解決策を考えましょう。
採用段階のミスマッチをなくす
早期離職を防ぐためには、採用段階から対策に取り組むことが必要です。採用段階では、入社してほしいがために会社のいい面のみを伝えてしまうことがありますが、そうすると実際に入社したあとにギャップが生じることになります。いい面ばかりを見せるのではなく、実際の職場の姿や仕事内容を見せることを心がけましょう。
給与、労働条件、キャリアについては、入社する前に確認している事項ではありますが、実際に入社したときに想像と大きく異なると不満を抱く可能性が高くなります。これらの認識の相違は、具体例を説明に取り入れることである程度防ぐことができます。例えば、入社年数に応じた給与の目安を示したり、先輩社員の1日、1週間のスケジュールを職種ごとに説明したりすることなどがあげられます。自社で働くイメージを具体的に持ってもらうことが重要です。説明する際には、スライドなどを使用してわかりやすく伝えるなど工夫しましょう。
社風ややりがい、人間関係は実際に入社してみないとわからないことも多いですが、社員インタビュー動画や座談会動画、オフィス案内動画を用いて伝える方法があります。企業のイメージに合ったものを作ることで、ギャップを生じにくくすることができるでしょう。また、対面式の座談会で社員と実際に交流することも有効です。
フォロー体制を整える
年齢や社歴の近い先輩社員を新入社員の相談役として配置し、新入社員のサポートを行うメンター制度を取り入れたり、上司と定期的な面談をする機会を設けるなど、採用後のフォロー体制を整えることが重要です。
入社したばかりの頃は、新しい環境に慣れることにストレスを感じやすくなります。その際に気軽に相談できる先輩社員や、上司との状況確認の機会があることで気持ちが楽になります。
フォロー体制が整っていることを採用活動の中でアピールすることで、応募者の増加につながるかもしれません。また、こうした制度を活用して風通しのよい職場にしていくことも必要です。
人事評価制度を明確にする
離職を防ぐ入社後の取り組みとして、社内の人事評価制度の明確化や、見直しを随時行う必要があります。
離職の主な原因のなかに、給与が低い、仕事へのやりがいが感じられないといった理由があります。これは、仕事に対する正当な評価が得られていないと感じるために起こります。
不透明な人事評価制度だとこのような不満が起こりやすくなるため、人事評価制度を明確にする必要があります。また、固定化した人事評価制度も時代の流れに合わず、社員の意識とのギャップが生じることになるので、随時見直しをする必要があるでしょう。
社員は自分の努力や成果が正当に評価されていると実感することでモチベーションの向上につながります。
まとめ
社員の定着は企業の安定、成長につながります。採用後のフォローはもちろんのこと、採用段階から離職防止を意識することで、定着率に大きく影響します。採用ツールを活用し、効果の高い採用活動を行いましょう。
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